IoTデバイスセキュリティの最前線:サプライチェーンからDevSecOpsまで、日本企業が取り組むべき対策

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Photo by Su San Lee on Unsplash

IoTデバイスの普及は、私たちの生活をより便利にする一方で、新たなセキュリティリスクを生み出しています。サイバー攻撃者は、脆弱なIoTデバイスを足がかりに、企業ネットワークへの侵入や機密情報の窃取を試みます。本記事では、日本の企業がIoTデバイスのセキュリティを強化するために取り組むべき最新のトレンドと対策について、中立的な視点から解説します。

サプライチェーン攻撃対策の強化

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Photo by Sora Sagano on Unsplash

IoTデバイスは、設計、製造、流通、運用、廃棄といったライフサイクル全体を通じて、様々なセキュリティリスクにさらされています。サプライチェーン攻撃は、このライフサイクル上の脆弱性を悪用し、悪意のあるコードを混入させたり、デバイスの機能を改ざんしたりするものです。

SBOM(Software Bill of Materials)の活用

SBOMは、ソフトウェアを構成するコンポーネント(ライブラリ、フレームワークなど)のリストです。SBOMを活用することで、IoTデバイスに含まれるソフトウェアの構成を把握し、既知の脆弱性を持つコンポーネントを特定することが可能になります。SBOMの作成と管理は、サプライチェーンにおけるセキュリティリスクを軽減するための重要なステップです。

脆弱性情報の共有体制構築

サプライチェーン全体で脆弱性情報を共有する体制を構築することも重要です。メーカー、サプライヤー、ユーザーが協力し、脆弱性に関する情報を迅速に共有することで、攻撃の早期検知と対応が可能になります。

ゼロトラストアーキテクチャの適用

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Photo by Lin Mei on Unsplash

従来の境界防御は、ネットワークの内側を信頼し、外側からの攻撃を防ぐという考え方に基づいていました。しかし、IoTデバイスが社内外の様々な場所に分散している現在、境界防御だけでは十分なセキュリティを確保できません。

ゼロトラストアーキテクチャは、すべてのデバイスと通信を信頼せず、常に検証するという原則に基づいています。IoT環境にゼロトラストを適用することで、デバイス認証の厳格化、マイクロセグメンテーション、継続的な監視などの対策を講じることが可能になります。

デバイス認証の厳格化

デバイス認証を強化し、不正なデバイスがネットワークに接続することを防ぎます。多要素認証(MFA)やデバイス証明書などの技術を活用し、デバイスの正当性を厳格に検証します。

マイクロセグメンテーション

ネットワークを細かく分割し、各セグメント間の通信を制限します。これにより、万が一、あるデバイスが侵害された場合でも、被害の拡大を防ぐことができます。

AI/MLを活用した脅威検知と対応の自動化

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Photo by Jezael Melgoza on Unsplash

IoTデバイスは、大量のデータを生成します。これらのデータをAI/MLで分析することで、異常な挙動を検知し、サイバー攻撃の兆候を早期に発見することができます。

機械学習モデルの構築

IoTデバイスの正常な動作を学習した機械学習モデルを構築します。このモデルを使って、デバイスの挙動を監視し、通常とは異なるパターンを検知します。

データ収集・分析のポイント

AI/MLによる脅威検知には、大量のデータが必要です。デバイスから収集するデータの種類、収集頻度、保存方法などを適切に設計し、効果的なデータ分析を実現します。

プライバシー保護への配慮事項

IoTデバイスから収集するデータには、個人情報が含まれる可能性があります。プライバシー保護に関する法令を遵守し、データの匿名化や暗号化などの対策を講じることが重要です。

法規制への対応と標準化の進展

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Photo by Tianshu Liu on Unsplash

日本国内では、IoTセキュリティに関する法規制が強化されています。改正電気通信事業法では、特定電気通信設備(IoTデバイスを含む)のセキュリティ対策が義務付けられています。

NIST Cybersecurity FrameworkやISO/IEC 27000シリーズの活用

NIST Cybersecurity FrameworkやISO/IEC 27000シリーズといった国際的なセキュリティ標準を活用することで、法規制への対応を効率化し、国際的な水準のセキュリティを確保することができます。

DevSecOpsの実践

IoTデバイスの開発段階からセキュリティを組み込むDevSecOpsの実践が重要です。

セキュリティテストの自動化

開発プロセスにセキュリティテストを組み込み、脆弱性を早期に発見します。テスト自動化ツールを活用し、効率的なセキュリティテストを実現します。

脆弱性管理

発見された脆弱性を適切に管理し、優先順位をつけて修正します。脆弱性管理ツールを活用し、脆弱性の追跡と修正状況の把握を容易にします。

インシデント対応プロ

インシデント発生時の対応手順を明確化し、迅速かつ効果的な対応を可能にします。インシデント対応チームを組織し、定期的な訓練を実施します。

結論

IoTデバイスセキュリティは、企業の事業継続性を左右する重要な課題です。サプライチェーン攻撃対策の強化、ゼロトラストアーキテクチャの適用、AI/MLを活用した脅威検知と対応の自動化、法規制への対応、DevSecOpsの実践といった最新のトレンドを踏まえ、自社の環境に最適なセキュリティ対策を講じることが求められます。継続的な改善と最新情報の収集を心掛け、変化する脅威に対応していくことが重要です。

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